弱男
中三の頃。ひねくれてた私は、みんなが聴いてるいわゆる「J-pop」ってやつが好きになれなくて、なーんか違うと思ってて。そんな時に友達が貸してくれた、「ガガガSP」とかいう変なバンドのアルバム「卒業アルバム」
このアルバムに入ってた「弱男」という曲に当時の私は見事にぶち抜かれてしまった。
行けよ男達、山を越え谷を越え、
中途半端なまま突き進めそれが人間だ
言いたい事があればその場で叫ぶんだ、
後で土下座でもすりゃいいさそれが人間だ
本当にそんな事出来るならば
いちいち歌で言う事はないだろう
だから僕はせめて歌っている時だけでも
自分の感情を表に出してやるんだ
こんな歌詞の曲があるなんてまったく知らなかった。そうなんだよ。そもそも歌なんてのは「いちいち歌で言う事はない」事ばっかりなんだよ。
例えばさ、好きな人に「好き」って言える人にラブソングはいらないと思うんだ。
嫌いな奴に「嫌い」って言える人にパンクロックはいらないと思うんだ。
私がJ-popに違和感を感じてたのはそういうところだったんだと思う。好きな人に好きって言えそうな人がラブソングを歌ってたりとかね。なーんか嘘っぱちに聞こえてたんだと思う。もちろん自分がひねくれてたのもあるけど。
あれから随分と時間が経ったけど、やっぱり思う事は同じ。それどころか、それは音楽に限ったことじゃないなと思ってる。
音楽や文章、アートってのは、私の考えでは弱者の味方であってほしい。
いつもなんだかモヤモヤして、どうしようもなくて、でもどうしていいか分かんなくて。
そんな人達が唯一「最強」になれる武器であってほしい。好きな人に好きって言える、嫌いな人に嫌いって言える。自分はこう思ってると言えない人が、自分はこうだと言える。どんなブッサイクでも、とびっきりロマンチックになれる。世界一のイケてる人間になれる。ひきこもりだって世界を旅できる。毎日つまんない日々でも、ハラハラドキドキできる。
だから音楽は素敵なんだ。文章やアートは素敵なんだ。
それでも、その中でも私はやっぱり音楽が好きで、一度はみんなライブハウスでライブを体感してほしい。
日常において、楽しんで汗だくでぎゅうぎゅうの中で他人と押したり押されたりして揉みくちゃになる事ってある?自分の頭上から人が転がってくる事ってある?他人の頭上を転がる事ってある?
辛いことやしんどいこと、死にたいことばっかりでも、その空間ではみんながでっけえ音の中ででっけえ声を出して、拳を上げてひとつになる。たった数千円で数時間だけ無敵になれる。ありえない事が起こる。
だからライブは楽しいんだ。
ライブハウスに行った事がない人は、一度は行ってほしい。できればとびっきり激しいバンドがいいなあ。きっとあなたの何かをぶちこわしてくれるから。あなたの身体のどこかを、誰かの汗かなんかわからん匂いでめっちゃくちゃ臭くしてくれるから。そん時にあなたはきっと思うでしょう。
「もう二度と行かない」って。
大丈夫。それが正常です。笑